旅行や海外のニュースを見ていると、気温が95°Fと表記されていることがありますね。
これは、アメリカなど特定の国々で使われている華氏という温度単位のためです。
例えば、95°Fは摂氏では約32℃に相当します。
本記事では、なぜ世界には摂氏と華氏の二つの異なる温度単位が存在するのか、それぞれの単位の特徴、温度の換算方法、そしてどの国でどの単位が主に使用されているのかを説明します。
摂氏と華氏の基本的な違い
摂氏について
摂氏は日本を含む多くの国で使用される温度単位で、記号は「℃」です。
例えば15℃の場合、「摂氏15度」や「15度シー」と呼ばれます。
以下は摂氏での重要な温度の基準です：
- 絶対零度：-273.15℃
- 水の凝固点：0℃
- 水の沸騰点：100℃
絶対零度は物質が取り得る最低の温度を表し、1気圧下での水の状態変化を基準に設定されています。
水が凍る点を0℃、沸騰する点を100℃としています。
華氏について
華氏は特にアメリカなどいくつかの国で採用されている温度単位で、記号は「℉」です。
日本で使用する際には、「華氏15度」または「15度エフ」と表現されます。
以下は華氏での主な温度の基準です：
- 絶対零度：-459.67℉
- 水の凝固点：32℉
- 水の沸騰点：212℉
摂氏と比較して、水の凝固点と沸騰点が異なるため、同じ温度でも表示される数値には大きな違いがあります。
水が凍る温度から沸騰する温度までの差は華氏で180℉に設定されています。
摂氏と華氏の変換方法
温度を華氏から摂氏に変換する際には、次の公式を使用します。
摂氏 = (華氏 - 32) ÷1.8
一方、摂氏から華氏への変換は以下の式で行います。
華氏 = (摂氏 × 1.8) + 32
例として、人間の平均的な体温である36.5℃を華氏に換算すると、おおよそ97.7°Fとなります。
摂氏と華氏の起源と使用
摂氏と華氏は、異なる国々の科学者によって異なる時代に開発された温度単位です。
華氏の起源
1724年、ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトがこの単位を導入しました。
この単位は彼の名前にちなんで名付けられました。
摂氏の起源
スウェーデンの天文学者、アンデルス・セルシウスが1742年に摂氏を提案しました。
この温度単位も彼の名前を冠しています。
メートル法の普及と共に、1970年代には多くの国で摂氏への移行が進みましたが、一部の国では今でも華氏が使われています。
摂氏と華氏を使用している国々
アメリカ合衆国
アメリカでは公式には摂氏が採用されているものの、日常生活では華氏が広く用いられています。
特にテレビの天気予報では華氏が主流ですが、インターネット上では摂氏と華氏が並列して表示されることが一般的です。
家庭用の体温計などでは、表示を摂氏と華氏の間で切り替えることができます。
教育機関においては、主に華氏が教えられ、摂氏は基礎的な内容に限られています。
アメリカでの摂氏への完全移行は、経済的な負担が大きいため困難を極めています。
アメリカ以外では、ジャマイカ、バハマ、ケイマン諸島などでも華氏が使用されています。
ヨーロッパ
ヨーロッパのほとんどの国々で、かつては華氏が用いられていましたが、今日ではドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、チェコ、ポーランド、トルコを含むほぼ全域で摂氏が採用されています。
しかし、イギリスでは1960年代から1970年代にかけてメートル法に基づく摂氏への移行が推進されたものの、いくつかの非科学的な分野では依然として華氏が使われ続けています。
アジア
アジア地域では、日本、中国、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、インドなど多くの国で摂氏が一般的に使用されています。
オセアニア
オセアニア地域の国々、特にオーストラリアとニュージーランドでは、摂氏が広く使用されています。
ただし、パラオ共和国は例外的に華氏を使用している国です。
まとめ
世界中で温度を示す単位として摂氏と華氏が使用されており、地域によって主流の単位が異なります。
アメリカを含む一部の国々では、日常生活では華氏が広く用いられている一方で、公式の文脈や科学研究では摂氏が一般的に使われています。
ヨーロッパ、アジア、オセアニアの大部分では、メートル法の普及に伴い摂氏が主に採用されています。
アメリカでは法的には摂氏が採用されていますが、天気予報や日常会話で華氏が使用されることが多く、教育現場でも華氏の教育が一般的です。
ヨーロッパの多くの国で摂氏が広く使われていますが、イギリスでは非科学分野で華氏が時折使われます。
アジアとオセアニアでは、ほとんどの地域で摂氏が利用されています。
このように温度単位の選択は、各国の文化的背景や歴史的経緯に影響されます。
国際的なコミュニケーションやデータ共有に際しては、これらの違いを理解し適切に扱う必要があります。
